Terrawell テラフォーコ 109 ── 焼かないミネラル建材のテクスチャ

Terrafuoco-109square / Terrawell

素材 / MATERIAL

焼かない、という選択。

Terrawell は、セラミックタイルではありません。天然ミネラルを主原料に、空気とともに固まる ── 新しいカテゴリーのミネラル建材です。

Material — Category

Terrawell とは何か ── カテゴリーの定義

Terrawell は、焼かないミネラル建材です。

セラミックタイルでも、塗り壁でも、調湿ボードでもありません。ミネラルを焼成せずに、空気とともに固める ── 既存のどの建材カテゴリーにも属さない、新しい素材です。

似て非なるもの ── 3つの境界線

Terrawell は、外観や用途の一部が既存カテゴリーと重なるため、混同されることがあります。しかし、製法・性能・ライフサイクルのすべてにおいて、Terrawell は別の論理で成り立っています。

セラミックタイルとの違い

セラミックタイルは、粘土を含む複数の鉱物原料を1,250℃前後で焼成して作られます。Terrawell は焼成しません。常温で成形し、ミネラルの結晶化によって固化します。高温焼成という工程を持たないこと ── そこに、製造時のエネルギーと CO₂ 排出をめぐる根本的な違いがあります。

塗り壁(漆喰・珪藻土)との違い

漆喰や珪藻土は、職人の左官技術によって現場で仕上げる湿式工法の建材です。Terrawell は、工場で板状に成形された乾式の建材で、施工精度と品質の再現性が安定しています。仕上げのばらつきや、乾燥後のひび割れリスクから自由です。

一般的な調湿建材との違い

多くの調湿建材は、湿気を吸って放つことを主な働きとしています。Terrawell はその調湿に加えて、ホルムアルデヒドをはじめ空気中のVOCも、同じ素材で引き受けます。単機能の調湿建材とは、室内環境への作用の幅が異なります。

試験データは性能ページで。

Terrawell を成り立たせる、3つの構造的特性

01

焼成しない製法

株式会社加納は2022年、60年以上続けてきたセラミックタイルの自社窯を停止しました。焼かないという選択は、高温焼成に伴うエネルギーと CO₂ 排出を製造工程から断つ決断であり、Terrawell の出発点です。

02

空気とともに固まる ── ミネラルの結晶化による固化

Terrawell は、焼成炉の熱ではなく、ミネラルがゆっくりと結晶化していく反応によって固まります。常温で成形され、時間とともに石へと近づいていく ── 焼いて固める建材とは、固化の原理そのものが異なります。

03

自己循環する ── 再生原料としての設計

Terrawell は、他産業で役目を終えた素材を受け入れ、新しい建材へと送り出してきました。さらに、Terrawell 自体も使用後にふたたび原料へと戻すことができます。受け入れる循環と、送り出したあとの循環。その両方を備えることで、一方通行で消費されるのではなく、循環の中に置かれた素材として設計されています。

これまで受け入れてきた素材の実例を見る
Process

製法 ── 焼かない、ということ

セラミックタイルの製造工程は、焼成炉を中心に組み立てられています。1,250℃の熱で粘土を含む複数の鉱物原料を焼き固める ── この一点を成立させるために、施釉、乾燥、選別といった工程が前後に必要になります。

Terrawell は、別の原理で固まる素材です。焼成炉ではなく、空気と時間によって。だから、製造工程の組み立て方そのものが、根本から異なります。

セラミックタイル(外装モザイクタイル) 焼成炉を中心とした製造
  1. 1成形(乾式プレス成型)
  2. 2施釉(自動ラインでの施釉)
  3. 3乾燥(乾燥室で約1日)
  4. 4焼成(トンネル窯、1,250℃で20時間前後※加納の場合
  5. 5選別・検査(サイズ計測、強度試験、吸水率試験)
  6. 6ユニット加工・箱詰め
  7. 7出荷
Terrawell 空気と時間による製造
  1. 1成形(乾式プレス成型)
  2. 2養生(空気中の二酸化炭素を取り込みながら、3日程度)
  3. 3選別・検査
  4. 4箱詰め
  5. 5出荷

株式会社加納は60年以上、セラミックタイルを作ってきました。プレス成型の精度、釉薬の調合、焼成の温度管理 ── ひとつひとつの工程に、職人の技術と経験が蓄積されています。

Terrawell は、その蓄積の中から、新しい素材を生み出す試みでした。プレス成型の技術はそのまま活かす。焼成は、空気と時間による固化に置き換える。そうすることで、CO₂ を排出する素材ではなく、CO₂ を取り込む素材を作る ── この性質の反転が、Terrawell を成り立たせています。

工程の構成が異なるのは、両者が異なる原理で固まる素材だからです。同じ「タイル状の建材」に見えても、Terrawell とセラミックタイルは、製造哲学の段階から、別の道を歩んでいます。

Industry

Terrawell の製造には、セラミックタイルの設備がそのまま使えます ── 焼成炉(キルン)を必要としません。

Terrawell は、株式会社加納一社が抱え込む素材ではありません。同じプレス成型設備を持つ同業者と、共に作っていく素材です。すでに、協業メーカーによる Terrawell 製品も生まれています。

01

既存設備を、そのまま

Terrawell のプレス成型に必要な設備は、セラミックタイル工場が既に持っているものと同じです。新たな設備投資は要りません。長年使い込まれた成型機の精度と、それを扱う職人の経験が、そのまま Terrawell の品質に活きます。

02

協業による広がり

Terrawell の製品の一部は、すでに協業メーカーによって製造されています。株式会社加納が素材の設計と品質基準を担い、製造を複数のパートナーで分担する ── 一社の生産能力に依存しない、開かれた製造構造です。

03

多治見の産地と、共に

焼成タイル産業が世界的な転換期を迎える中、Terrawell は、多治見というタイル産地の未来に、新しい素材としての貢献を目指します。既存の設備と職人技術を活かしながら、新しい時代の建材を作るための、ひとつの選択肢として。

Properties & Texture

物性とテクスチャ ── 素材が持つ、ふたつの表情

01

共通の素地 ── ミネラルの結晶肌

Terrawell の表面は、ミネラルが結晶化した粒状の素地で覆われています。焼成炉の熱で硬く焼き締めるのではなく、ミネラルがゆっくりと結晶化することで固まる ── その固化の原理が、そのまま表面の表情になります。

粒状の自然石を思わせる、ざらりとした手触り。光を均一に反射せず、わずかな陰影を抱きこむ肌合い。すべてに通底する、Terrawell の物質的な性質です。

02

オフホワイトとホワイト ── 素材自身が持つ色

Terrawell の色は、加えるものではなく、素材が持つものです。顔料を用いず、ミネラル素地そのものの色合いを活かしています。

PRO タイプ(Terrafuoco / Forza / SURF)── オフホワイト。

やや黄味を含む、自然鉱物の中庸な明るさ。

S タイプ(TerraTessera)── ホワイト。

より明度の高い、ホワイト寄りの色合い。

ふたつのタイプは、色だけでなく、調湿機能や強度などの特性にも違いがあります。建築の中で、空間に求める表情と機能に応じて選ばれます ──

Vision

内と、軒の下へ。

住まいの静けさに、もてなしの場の佇まいに。

屋根や庇に守られた半屋外にも、Terrawell は居場所を見つける。

光を受けるたび、面はあたらしい陰影を結ぶ。

SURF を壁面に施工した例。同心円の彫り込みが生む陰影。
SURF / Terrawell
Lineup — Structure

ラインアップ ── 5つの製品、2つの系統

共通の素地、別の論理

Terrawell の 5つの製品は、ひとつの共通基盤を持ちます。ミネラルが結晶化した粒状の素地 ── 焼かないという製法から生まれた、すべてに共通する表情です。

その共通基盤の上で、5つの製品は2つの系統に分かれます。製法の論理が、根本から異なるからです。

01

金型成型 ── 量産と再現性

Terrafuoco-109square / Terrafuoco-165square / Forza / SURF

金型に刻まれた意匠を、ミネラル素地に転写する。ドーム型、フラット面、ブリック調、放射状の帯 ── それぞれの形は、金型の表面が決めます。

意匠は、設計通りに繰り返されます。量産可能で、プロジェクトごとに同じ表情を確実に得られる。建築の予測可能性を支える系統です。

02

割面 ── 偶然と一回性

TerraTessera

一度厚いタイルに成型したあと、真ん中から縦に割る。割られた瞬間に、素材の内部が ── 鉱物片が密に詰まった割面が、そのまま意匠になります。

金型を介さない分、表情は豊かに、自由に立ち上がる。ひとつの素材から生まれた 2 枚は、二度と同じになりません。偶然性が固定された、一回性の系統です。

両方を提供することが、Terrawell の選択です。再現性のある量産と、二度と同じにならない一回性 ── 建築には、どちらの素材も必要だからです。

Spec

製品仕様

Terrafuoco-109square のスウォッチ ── 109角・緩やかなドーム

Terrafuoco-109square

タイプ:PRO
参考価格
¥25,800/m²〜(税抜)
寸法
約109×109×9mm
施工量
84枚/m²
ケース
100枚(18kg)・ケース(50枚入り×2箱)
Terrafuoco-165square のスウォッチ ── 大判フラット

Terrafuoco-165square

タイプ:PRO
参考価格
¥33,800/m²〜(税抜)
寸法
約165×165×10mm
施工量
37枚/m²
ケース
40枚(18kg)・ケース(20枚入り×2箱)
Forza のスウォッチ ── ブリック調、起伏のある岩肌

Forza

タイプ:PRO
参考価格
¥33,800/m²〜(税抜)
寸法
約200×75×13mm
施工量
67枚/m²
ケース
80枚(25.5kg)・ケース(20枚入り×4箱)
SURF のスウォッチ ── 角を起点に放射状の彫り込み

SURF

タイプ:PRO
参考価格
¥65,800/m²〜(税抜)
寸法
約165×165×5〜10mm
施工量
37枚/m²
ケース
40枚(16.5kg)・ケース(20枚入り×2箱)
TerraTessera のスウォッチ ── 割面に露出した素材内部

TerraTessera

タイプ:S
参考価格
¥47,800/m²〜(税抜)
寸法
約100×250×5〜20mm
施工量
40枚/m²
ケース
28枚(15.8kg)・ケース(14枚入り×2箱)
  • 使用場所:水がかりのない内装(居間・各部屋・トイレ壁・玄関壁・廊下壁)および軒下。
  • ※表示価格は材料のみ・税抜。別途、施工費・送料がかかります。
詳細・お見積りは、お問い合わせへ
PATENT / 特許

焼かずに固める技術は、登録されています。

Terrawell の素材は、火を使わずに鉱物を固める独自の技術から生まれます。その中核は、特許庁に登録された発明です。

中核技術

特許第7545781号「硬化体」/ 登録日 2024年8月28日

火を使わずに鉱物を固める"硬化体"の発明です。従来の非焼成の素材より、強度を高めています。

関連特許

特許第7366378号/特許第7366379号「調湿建材」/ 登録日 2023年10月13日

天然鉱物を非焼成で固める"調湿建材"の組成と製法に関する、2件の登録特許です。

いずれも、特許庁の特許原簿に登録された技術です。